復讐はただ無くし続ける時間。
- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2004/12
- メディア: 単行本
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自分の子供が殺されたら、あなたは復讐しますか?
長峰重樹の娘、絵摩の死体が荒川の下流で発見される。犯人を告げる一本の密告電話が長峰の元に入った。それを聞いた長峰は半信半疑のまま、娘の復讐に動き出す――。遺族の復讐と少年犯罪をテーマにした問題作。
映画化もされています。
あまりにも過激で、読んでいて苦しくなります。嫌悪感を抱き、何度も本を閉じてしまいました。
本の内容を否定しているわけではありません。どのような感情にせよ、読者に強く何かを感じさせられる物語というのは素晴らしいものだと思います。
ただ、この本はマイナス方面に感情が揺さぶられるということ。オススメはできません。胸糞悪いです。ほんとに…
好きな本には決してあげられない。
でも、心に強く残った本ではあります。
「復讐は認められるのか」
「被害者の気持ち」
これがこの本のポイントです。
・憲法として認められるのか。
・読者であるあなたは認めるのか。
・犯罪の内容を知った上で、憲法に従えるのか。
被害者遺族にとって、加害者は許せない存在でしょう。警察に捕まって、裁判を受けて、死刑判決が出たとしても執行されるのは何年後なのか。
それまで待てません。
自分の手で憎しみをぶつけてやりたいと考えるでしょう。
法律に詳しいわけではありませんが、死刑を決めるのは裁判所。執行を決めるのは法務大臣。裁判で決まったことを個人がさらに判断するわけです。(一度決まったことなのにね、不思議)
やはり、じっと待つことはできません。
待てないからといって何かできるわけでもありませんが。現実では泣き寝入りに近いのではないでしょうか。
本作の主人公は自分で犯人に復讐をする道を選びます。
私にはそれを責めることができません。
私は復讐を認めました。応援しました。
だからこそ、深く共感してしまいました。悲しみは続き、被害者の女の子が受けた苦しみを何度も想像しては吐きそうになります。
読んでいる間、常に苦しんでいました。
呻き声を上げ、嘆き悲しみます。
結末がどうなったのかは読んで確認して下さい。
物語の結末には満足しています。
あれでいいと思います。あれしかないと思います。
どのような結果だったとしても胸がスッとすることはなかったでしょう。報われることもないでしょう。
喜ぶこともありません。復讐というのは報われることはないんですね。戻ってこないものがあるんです。それどころか、復讐以外の考えや、憎悪以外の感情など、ただ無くし続ける時間なんです。
犯罪というのは幸せになれず、一生抱えていかなければならないものなのでしょう。
だからこそ犯した罪と同等の罰が与えられるべきだと思います。
「目には目を、歯には歯を」ハンムラビ法典です。(復讐を認めた法ではありません)
嫌な意味で忘れることができない本になりました。読んだことを後悔していますが、読まなければならなかった本だと感じています。